中国大手テック、ステーブルコイン発行に乗り出すか…香港ステーブルコイン法案の施行が間近に

香港を通じて中国の大手テック企業がステーブルコイン（法定通貨と連動した暗号資産）を発行できるという分析が出た。暗号資産に対する厳格な規制の中、中国の大手テック企業の戦略的な動きに注目が集まっている。

業界によると、29日、iM証券リサーチ本部は「暗号資産の『分散化』という特性が中国の『中央集権的統治』と衝突しているため、中国が暗号資産規制を全面的に放棄することはないだろう」としつつも、「米中覇権争い等の国家的目標のため、中国はいつでも香港をテコにして暗号資産規制の緩和を選択する可能性がある」と分析した。

香港は5月21日にステーブルコイン法案を可決しており、当該法案は8月1日に施行される予定である。

香港のステーブルコイン法案は、香港で法定通貨ベースのステーブルコインを発行しようとする事業者は香港金融監督庁（HKMA）の許可を受ける必要があると定めている。

ステーブルコイン発行ライセンスの取得のためには、香港に法人を設立するか、香港に支店を持つ認定された海外金融機関でなければならず、最低払込資本金基準2,500万香港ドル（約318万ドル）を満たす必要がある。このほかにも、法案はステーブルコイン発行者に対し、顧客資産の分別管理、適切な条件での償還処理、準備資産の管理及び状況要件の充足、資金洗浄防止（AML）及び開示、監査などを厳格に遵守することを明記している。

iM証券は「中国は暗号資産の一国二制度戦略を活用し、本土では厳格な暗号資産規制により暗号資産流通・マイニングを全面禁止しているが、香港を『デジタル資産ハブ』として育成し、グローバル投資家を惹きつけ、ブロックチェーン技術および人材を育てようとしている」と指摘した。さらに「香港のステーブルコイン法案によって中国の大手テック企業もステーブルコイン発行に参加することになるだろう」と予想した。

暗号資産関連リスクを最小限に抑えながら、資本流出を防ぎ通貨主権を維持するという中国の戦略だと解釈される。

実際、中国の京東集団、阿里巴巴集団はそれぞれ子会社を通じてステーブルコイン発行のライセンス取得を目指しているという。iM証券は「京東集団はステーブルコインを通じて決済時間を10秒以内に短縮し、決済費用もクレジットカード比で最大90%まで削減することを目指している」とし、「加えて、中国阿里巴巴集団の金融会社であるアント・インターナショナルもステーブルコイン発行ライセンスの申請を予定している」と強調した。