米関税判決、最高裁に迅速上告…早ければ来年初めに判決

ブルームバーグ調査 "IEEPA根拠の関税が違法となる可能性60%"

共和党任命の最高裁判事が多数でトランプ政権は勝訴に自信

一部の法学者は「法理上、最高裁も覆すのは容易ではない」と予想

トランプ米大統領が控訴裁判所の関税判決に不服として、迅速に最高裁に上告する計画を明らかにしたことにより、韓国、日本、欧州連合（EU）など貿易相手国を対象とする相互関税の存続可否が早ければ来年初めに決まる見通しだ。

3日（現地時間）報道によれば、トランプ大統領は迅速な判決が必要であるとして、行政は現地時間の3日中に最高裁に速決を要請すると述べた。

米国の法律および貿易の専門家の多数は、最高裁が下級審の判決を覆し、トランプ大統領が国際緊急経済権限法（IEEPA）に基づいて課した関税を維持する可能性がやや高いと見ている。一部の法学者は、IEEPA法に明示されていない大統領の権限行使を判断する訴訟であるため、保守傾向が支配的な最高裁であってもトランプ政権が望む通りに判断するのは容易ではないと予想している。

ブルームバーグが専門家を対象に行った調査でも、トランプのIEEPA関税が最終的に違法と見なされる確率は60%と評価された。専門家は、米最高裁がこの法律による「関税の課徴が大統領の権限を超えたと判断する可能性が高い」と見ている。

現在、米最高裁の判事9名のうち共和党が任命した判事は6名だ。米最高裁はトランプの就任以降、移民の強制送還許可やトランスジェンダーの軍務禁止許可などでトランプ大統領に連続して勝利をもたらしたことがある。

米連邦巡回控訴裁判所は先週金曜日に下級審と同じ判断を示した。すなわち、IEEPAは国家非常事態において認められる規制権限に関税を明示しておらず、大統領に無制限の関税課徴権限を付与するものではなく、これは議会の権限だと判断した。

スコット・ベセント財務長官をはじめとする行政府高官らは、しかし最高裁に行けばIEEPAに基づく関税課徴を支持すると予想している。もし控訴裁の決定が維持された場合でも、別の法的手段を活用すると述べた。現行の関税は控訴裁が猶予期間を設けたため10月14日まで維持される予定だ。

米国の一部の法学者は、大統領に明示されていない非公式な規制権限がどこまで及ぶかが最高裁で最大の論点になると見ている。したがって保守傾向の判事が多数であっても、最高裁が国際貿易裁判所が関税について下した原審判決を維持するだろうと彼らは予想している。

共和党が任命した元米通商代表部副代表でローファーム、コヴィントン・アンド・バーリングのパートナーであるジョン・ベロノはロイターとのインタビューで「最高裁がIEEPAをあれほど広範に解釈して大統領が望む通りに関税法を作り直すとは信じられない」と述べた。

ベロノはこの事件が最高裁の「重大問題原則（major questions doctrine）」を試すことになるだろうと語った。この原則は、議会が行政機関に『重大な経済的、政治的意義』を持つ決定を行う権限を与えるには、法に明示されていなければならないという原則だ。

この原則は2023年にジョー・バイデン前大統領を相手に適用された。 当時最高裁は6対3でバイデン大統領が最大4,000億ドルの学生ローンを免除した措置は権限を超えていたと判断した。裁判所は当時、この判断に『重大問題原則』が大きな影響を与えたと述べた。

したがって最高裁がトランプの関税にも同じ基準を適用するかどうかが核心争点だ。今回控訴裁は判決文でこれを学生ローン免除の影響と比較して「政府のIEEPA解釈により課された関税の全体的な経済的影響ははるかに大きい」と指摘した。

しかしこの問題に対する判決には最高裁の現在の6対3の保守傾向が作用する可能性がある。IEEPA関税に反対票を投じた控訴裁の7人の判事のうち6人は過去に民主党政権により任命されたが、両党が任命した判事の間でクロスオーバー投票があったと伝えられている。

元商務省高官でローファーム、キングス・アンド・スポールディングのパートナー、ライアン・マジェラスは「最高裁も結局IEEPAが（議会ではなく）行政府による関税課徴を許容するかどうかを判断する必要がある」と指摘した。

トランプ政権はすでに国家安全に焦点を当てた1962年通商拡大法第232条を根拠に関税調査を拡大してきた。この法律に基づき鉄鋼、アルミニウム、自動車および自動車部品に対する関税を課しており、半導体や医薬品に続き最近は家具の輸入に対する調査が始まった。

ベセント財務長官はロイター通信とのインタビューで、1930年制定のスムート・ホーリー関税法も別の選択肢として挙げた。この法律は大統領が米国の商取引に差別を与えていると判断される国の輸入品に最大50%の関税を課すことを認めるものである。 この法律の第338条は何十年も使われてこなかったが迅速な関税課徴が可能だ。

貿易関連の弁護士らはIEEPA関税が最終的に廃止された場合、トランプ政権の最大の頭痛は既に納付された関税の返還になるだろうと述べた。マジェラス弁護士は輸入業者が税関・国境警備局（CBP）に異議を申し立てて返還を受けられる可能性があり、最終的には訴訟に発展すると予想した。

CBPは8月25日現在、IEEPAに基づき課された関税が合計658億ドル（約91兆ウォン）に達すると発表した。ここには通商拡大法232条に基づき課された鉄鋼とアルミニウム、自動車および自動車部品に課された関税は含まれていない。

ロイターは今週中に最高裁へ上告した場合、最終判決は2026年初めに下される可能性が高いと伝えた。

キム・ジョンア 客員記者 kja@hankyung.com