ビットコイン反発、9月が分水嶺…ソラナ・ドージコイン上昇傾向 [イ・スヒョンのコインレーダー]

<イ・スヒョンのコインレーダー>は一週間の仮想資産市場の流れを振り返り、その背景を深掘りして解説するコーナーです。単なる価格の列挙を超え、グローバル経済の課題と投資家の動きを立体的に分析し、市場の方向性を測るためのインサイトを提供します。

主要コイン

1. ビットコイン(BTC)

ビットコインは先週11万ドルを下回った後、今週に入って反発に成功しました。5日基準でビットコインは11万2000ドル付近で取引されています。

今回の反発には9月の利下げ期待が決定的でした。この日、シカゴ・マーカンタイル取引所（CME）のフェドウォッチによれば、17日に開かれる連邦公開市場委員会（FOMC）会合で米連邦準備制度理事会（Fed）が金利を25bp引き下げる可能性は99.4%で、事実上利下げが確実視されています。次期Fed議長候補として挙げられるクリストファー・ウォラー理事も「次回会合で利下げを開始すべきだ」と直接言及しました。

さらに、米国労働省が3日（現地時間）に発表した7月の求人・離職報告書（JOLTS）で求人件数が718万1000件と予想を下回り、雇用の鈍化を示唆し、これが利下げ期待をさらに刺激しました。

今、市場の視線は今夜発表される米国の8月雇用報告に注がれています。もし雇用市場の悪化を示す指標が出れば利下げ見通しはさらに強まり、それはビットコインの投資心理にもポジティブな触媒となり得ます。現在の市場予想では、米国の非農業部門雇用者数が7万5000人で前月（7万3000人）と比べて小幅増加し、失業率も4.3%で前月（4.2%）と比べて上昇する見込みです。市場予想を大きく外さない水準の指標が発表されれば、9月の利下げ期待はそのまま維持されると見られています。

ただし、反発が続くためには11万4000ドルの回復がカギとなります。Glassnodeは「ビットコインが11万4000～11万6000ドルレンジを回復しなければ追加上昇の勢いは出ない」と診断しました。一方、K33リサーチは季節要因による9月の変動性を警告しており、実際にビットコインの9月の平均収益率は-4.6%で年中唯一のマイナスを記録したことがあります。

2. イーサリアム(ETH)

イーサリアムは2日に反発を始め、4日には一時4500ドルに迫りましたが、5日CoinMarketCap基準で4300ドル付近で推移し比較的安定した流れを続けています。このような流れにはビットコインからアルトコインへの資金移動が影響を与えました。海外メディアThe Blockは「ビットコインのドミナンスが62%から55%に下落したことでアルトコインの強気相場が近づく可能性が示唆されている」と分析しています。

特にイーサリアムは機関・個人投資家双方の関心を集めて継続的に資金を吸収しています。実際、ビットコインのクジラが保有資金をイーサリアムに移した例も確認されています。Cointelegraphによれば、最近あるクジラは27億ドル規模のBTCを売却してETHを買い、別のクジラも40億ドル相当のBTCを売ってイーサリアムを購入しました。

機関の買いも続いています。今週、BitmainはGalaxy Digitalを通じて約1万4665 ETHを買い入れ、Chainlink Gamingは3万9000 ETH以上を追加購入しました。その結果、取引所保有量は1740万個まで減少し、2022年以来の最低水準を記録しました。

短期的には4300ドルの支持線が安定的に維持されるとの分析が出ています。Coinglassのデータによればレバレッジのロングポジション清算が3億4000万ドルを超えて投資心理が冷え込んだものの、ショートポジションが急増していないため4300ドルの支持が強化されたということです。

ただし5000ドル突破には依然として不確実性が残っています。世界経済の減速や利下げの不確実性などマクロ経済変数がイーサリアムの5000ドル到達時期を遅らせる可能性があると分析されています。Cointelegraphは「イーサリアムのデリバティブ指標は回復力を示唆するが、投資家がマクロ経済データに注目しているため5000ドル達成までは予想より長い時間がかかる可能性がある」と診断しました。

3. エックスアールピー(XRP)

XRPは2日の反発後に2.8ドル台を回復することに成功しました。ただし3ドル回復には失敗し、5日にはCoinMarketCapで前日比0.62%安の2.81ドルで取引されています。

まず取引所保有量の増加が売り圧力として作用しています。CryptoQuantによれば、ここ1週間で主要取引所11か所のうち9か所でXRP保有量が増加しており、特にBinanceの保有量は29億個から36億個へ急増しました。

加えてクジラの売りも続いています。Whale Alertは「あるクジラが1日で3500万個以上をCoinbaseに移し、長期保有者も9～10月の強気相場のピーク懸念から売りに出ている」と伝えました。

テクニカル指標も弱気を示しています。Coingapeは「XRPが50日移動平均線（3.09ドル）を下回っており、相対力指数（RSI）も43まで落ちて追加下落の可能性を示している」と分析しました。アリ・マルティネス仮想資産アナリストは「主要サポートである2.74ドルを守れない場合は2.35ドルまで下押しする可能性がある」と警告しました。ただし逆に2.90ドルを突破して3ドルを回復すれば、3.70ドルまで反発する可能性があるという見方もあります。

注目コイン

1. ソラナ(SOL)

ソラナは最近一週間で顕著な強さを見せました。2日から反発を始めたソラナは4日に一時212ドルを突破し、現在は206ドル付近を維持しています。

上昇要因は大きく二つあります。第一に、取引確定速度を100倍改善するコンセンサスプロトコル「Alpenglow（アルペングロウ）」アップグレードが事実上承認の段階に入ったことです。投票締切日の27日を前に賛成率は既に98%を超えています。第二に、機関の買いと上場投資信託（ETF）承認期待です。今週、Galaxy DigitalやDeFi Developmentなどの機関がそれぞれ50万SOLと40万SOLを追加購入し、Fidelity・VanEck・Grayscaleなど大手運用会社は現物ETFの申請書を更新して期待感を高めました。

見通しもポジティブです。仮想資産専門投資会社Arcaは「ソラナは8月初旬以降で33%上昇しており、イーサリアムが示した200%の上昇に追随する可能性がある」と見通しました。ラック・デイビス仮想資産アナリストも「機関の関心増加、準備金の買い入れ、ETFのローンチ期待がソラナの強さを継続させるだろう」と予想しました。

2. ドージコイン(DOGE)

ドージコインは2日から反発を続け、一時0.20ドルから0.22ドルまで上昇しました。現在は比較的安定した流れを保ち、0.21ドル付近で取引されています。

今週注目すべきニュースは二つありました。第一に、ニューヨーク証券取引所（NYSE）上場企業の「CleanCore Solutions」がドージコイン投資のために1億7500万ドルを調達すると発表し、機関資金流入の期待が高まりました。第二に、イーロン・マスクの側近であるアレックス・スピロ弁護士が新たに設立されるドージコイン投資会社の会長職に就くというニュースです。該当会社は最低2億ドル以上を調達する計画で、ドージコイン財団傘下の「House of Doge」の支援を受ける予定です。

これにより市場ではマスクが新規投資会社に直接・間接的に関与する可能性が取り沙汰され、投資心理が刺激されました。短期的には0.22ドルの抵抗線突破の可否が鍵となります。CoinDeskは「0.22ドルを突破すれば0.25～0.30ドルまで上昇する可能性がある」と予想しました。ただし長期的にはETF承認の有無とクジラの蓄積継続が重要な変数と見られています。