米最高裁、トランプ関税の上告を「迅速審理」で合意

最高裁、トランプ関税の上告を迅速審理と決定

中小企業「価格急騰・サプライチェーンの混乱で生存が脅かされる」

IEEPAの権限解釈を巡り下級審で相次ぎ敗訴

米最高裁は9日（現地時間）、ドナルド・トランプ政権が広範なグローバル関税を維持するために提起した上告を迅速に審理することで合意した。これはトランプ政権の主要な経済政策である関税に関して年内に最終判断が出るようにするためのものだ。

最高裁は同日、この案件を11月初旬に審理すると発表し、この日程なら年末前に判決が出る可能性がある。今回の案件はトランプ大統領の2期目で推進された主要政策の適法性を最高裁が判断する最初の事例となる。

トランプ政権は、貿易交渉が進行する中で法的な不確実性がホワイトハウスに既に悪影響を及ぼしているとして、最高裁に迅速審理を求めた。

今回の関税に異議を唱えたワイン輸入業者やその他の小規模企業も迅速な結論を求めた。彼らは「関税による価格上昇とサプライチェーンの混乱で深刻な経済的困難に直面している」と述べ、その苦痛は当該事業群の少なくとも一社の存続を脅かす可能性があると最高裁に伝えた。

トランプ大統領は、1977年に制定された国際緊急経済権限法(IEEPA)が自身に事実上すべての国に基本関税 10% を課す広範な権限を与えると主張してきた。また、米国と合意していない国々にははるかに高い関税率を課すことができ、カナダ・中国・メキシコには追加関税を課すことさえできるとも主張してきた。

しかしこれまで複数の裁判所は、IEEPAがトランプ大統領にこれらの措置を取る権限を与えていないと判断してきた。例えば、海外からワインを輸入して米国で販売する小規模なワイン輸入業者は「関税のために価格が高騰し、サプライチェーンまで揺らいで事業継続が脅かされている」として訴訟を起こし、連邦控訴裁判所と国際貿易裁判所(CIT)の双方がこの業者の主張を認めた。また、海外から教育用玩具を輸入する玩具会社も同様の理由で関税の違法性を主張し、担当の連邦地裁で勝訴した。最高裁は同日、これら両件をいずれも審理することを決定した。

これとは別に、民主党所属の12州の司法長官連合もトランプ関税に反対する訴訟を進めている。

訴訟が進行する間もトランプ政権は欧州連合(EU)、インドネシア、フィリピン、日本との貿易協定を締結し続けてきた。

トランプ政権は、大統領に不利な判決が出れば深刻な結果を招くと述べた。スコット・ベセント財務長官は最高裁に提出した政府の嘆願書で、来年夏までに7,500億～1兆ドルの関税を徴収する見込みであり、裁判所の決定で関税を取り消す必要があるなら、その結果は壊滅的になり得ると述べた。

ベセント長官はまた、米国が既に締結した合意を元に戻し、パートナーが約束した米国内での購入や投資を取り消すよう求められる状況が生じれば大きな困難に直面すると付け加えた。一方で一部の経済学者は、関税が撤回されれば投資に対する不確実性が解消され、経済成長が促進される可能性があると述べている。

ニューヨーク=パク・シニョン特派員 nyusos@hankyung.com