「中国がいなければミサイルも半導体もない」…『希土類の首根っこ』を握られた米国 [グローバルマネー Xファイル]

中国は希土類の供給網に対する統制を強化している。単なる原材料の輸出規制を超え、高性能永久磁石の生産に必要な核心技術、設備、知的財産権まで握る『バリューチェーン全面統制』に乗り出しているのだ。米国の半導体技術封鎖に対する報復だという分析が出ている。

希土類を前面に出しグローバル供給網を '揺るがす'

13日、ロイター通信によれば中国商務部は9日に『域外（海外）希土類物資の輸出統制決定』を発表した。サマリウム・ジスプロシウム・ガドリニウム・テルビウム・ルテチウム・スカンジウム・イットリウム金属と、サマリウム-コバルト合金、テルビウム-鉄合金、ジスプロシウム-鉄合金、テルビウム-ジスプロシウム-鉄合金、酸化ジスプロシウム、酸化テルビウムを輸出統制対象に含めた。

これらの物資は輸出時に中国商務部が発行する二重用途物資（軍用としても民生用としても利用されうる物資）輸出許可証を取得しなければならない。また、これらの物資を含有・組合せ・混合して海外で製造された希土類永久磁石材料や希土類ターゲット素材も輸出統制対象に入れた。これらの対象に対する輸出統制は来月8日から段階的に施行される。

今回の措置の核心は採掘、選鉱、精錬、分離、合金および磁石製造に使用されるすべての関連技術と核心機器にまで拡大した点だ。具体的にはホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ユーロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)の5元素を統制リストに追加し、統制対象元素を合計12種に拡大した。

これは2010年の日中の尖閣諸島（中国名：釣魚島）を巡る争いの際に用いられた輸出クォータ削減のような数量統制方式よりも強度が高いと評価される。当時の措置が一時的な価格急騰と供給ショックを引き起こしたなら、今回の措置は西側が独自の希土類供給網を構築しようとする試み自体を根本から妨げ、遅延させようという長期的な目的を含んでいるという分析がある。

中国の希土類支配力は圧倒的だ。国際エネルギー機関(IEA)によれば今年時点で中国は世界の希土類採掘量の約70%を占める。供給網のボトルネックである精錬/分離（酸化物生産）段階では約90%、最終製品である永久磁石製造では約93%を掌握している。

希土類の精錬および分離工程は高度な化学的技術とノウハウを必要とする。同時に深刻な環境汚染も引き起こす。西側は過去数十年間、コスト効率と環境規制の理由でこの工程を中国に移転した。今や中国は蓄積された技術的優位を基盤に、物理的な供給網だけでなく『関連知識のボトルネック』まで掌握し、バリューチェーン全体に対する支配力を行使しようという意図を示している。

戦略国際問題研究所(CSIS)のグレースリン・バスカラン博士は「北京はもはや世界にとって不可欠な原料供給者という役割に満足していない。今や彼らはその原料を使用するために必要な技術の門番になろうとしている」と説明した。続けて「これはゲームのルールを根本的に変えるものだ」と強調した。

米国にならい『海外直接生産品規則』を活用

今回の統制措置で最も強力かつ論争を呼んだのは、米国が半導体供給網の統制に用いてきた『Foreign Direct Product Rule（FDPR）＝海外直接生産品規則』と似た論理を導入した点だ。中国の今回の新規定は、中国産希土類が微量（特定の中希土類の場合は製品価値基準で0.1%以上）でも含まれる製品や、中国の技術および設備を使って海外で生産された製品までも輸出許可の対象とする。

これは西側企業が中国を迂回してベトナム、マレーシアなど第三国に加工施設を設けようとする試みを無力化しようとする意図だという分析がある。例えば、米国企業が中国から輸入した酸化ネオジムをベトナムの工場で磁石に加工しても、その過程で中国製の設備や合金技術が使われれば中国の統制下に置かれる。これは供給網多角化戦略の核心であるいわゆる『チャイナ・プラス・ワン（+1）』戦略を正面から狙ったものだ。

このような『域外管轄権』の適用は西側企業に莫大な規制負担を課す。同時に中国政府には前例のない情報収集の機会を与えるという分析もある。輸出許可を得るため、関連企業は最終使用者、製品の具体的仕様、技術適用の方式など敏感な供給網情報を中国当局に提出しなければならない。これは貿易統制を超え、西側の先端産業エコシステム全体に関する深い情報を蓄積する情報戦の性格を帯びうる。事実上、グローバル希土類バリューチェーン全体を監視する巨大な『パノプティコン』を構築するのに近いという指摘もある。

ホワイトハウス関係者は9日、ロイター通信に「ホワイトハウスと関連機関は、世界の技術供給網を掌握しようとする中国が予告なしに発表した新ルールの影響を綿密に評価している」と述べた。

これに対しドナルド・トランプ米大統領は10日、「中国は世界に希土類の輸出を統制すると書簡で伝えた」とし、「現在検討中の対策は米国が輸入する中国製品の関税を大幅に引き上げることだ」と述べた。米国は中国の希土類輸出統制措置に対抗し、来月1日から中国に対して100%の追加関税を課すことにした。

中国の新規定は主に国防および半導体企業を狙ったものだという分析がある。軍事目的で使用される可能性がある輸出許可申請は原則として却下され、半導体関連の申請は非常に厳格な個別審査を経るよう定められた。中国が希土類支配力を西側の軍事技術優位と先端産業競争力を弱体化させる地政学的な武器として本格的に利用し始めたという見方が出ている。

アジア・グループのパートナー、ジョージ・チェン氏は「これは全面的な禁止措置のような鈍い道具ではなく、メスのようなものだ」と評し、「中国は精密な政治的目標を達成するために特定企業、特定産業、特定国家に対する圧力を高めたり下げたりできる」と評価した。中国の希土類規制は精緻な『外科手術用メス』のようだという分析だ。

先端防衛とグリーンのジレンマ

中国の希土類統制戦略は、米国などが同時に追求する二つの目標である『国家安全保障強化』と『グリーンエネルギー転換』を精密に直撃する。どちらも同一の供給網の脆弱性に根ざしているからだ。最先端の兵器システムの核心部品と、環境に優しい経済の原動力の双方が中国が掌握する希土類永久磁石、特にネオジム-鉄-ホウ素（NdFeB）系磁石に依存している。

現代兵器システムの性能は高効率・高出力の小型軽量部品などに左右される。米議会調査局(CRS)によれば、米軍の主力ステルス戦闘機F-35一機には約418kgの希土類が使用されているとされる。イージス駆逐艦のアーレイ・バーク級一隻には2360kg、バージニア級原子力潜水艦には4170kgの希土類が使われている。

これらの磁石は戦闘機の電気式アクチュエータや先端AES Aレーダーのマイクロ波エネルギー集束装置、精密誘導爆弾(JDAM)やトマホーク巡航ミサイルの誘導システム、無人機(UAV)の駆動モーターなど、兵器システムの脳や心臓、筋肉に相当するあらゆる部分に不可欠だ。

米国会計検査院(GAO)によれば、昨年時点で全希土類市場における国防部門の需要は0.1%未満とごくわずかだ。問題は総量ではない。極限の温度と圧力に耐える最高等級の磁石を安定的に調達することが重要だ。高温性能を確保するためにジスプロシウム(Dy)やテルビウム(Tb)などの中希土類(HREEs)が添加される必要がある。これら元素は磁石が高温環境でも磁性を失わないようにする核心的役割を果たす。中国は中希土類分離市場をほぼ100%掌握している。中国の統制は西側の軍事力維持に直接的な脅威になりうる。

グリーンエネルギーへの転換も希土類依存度を高めた。グローバル希土類市場調査会社アダマス・インテリジェンスのデータによれば、今年の世界の電気自動車駆動モーター市場で希土類永久磁石(PM)モーターは電力寄与度基準で約91%を占める。現在道路を走るほとんどの電気自動車が中国産希土類磁石に依存していることを意味する。

洋上風力発電分野も同様だ。巨大ブレードを低速で回転させるため、ギアボックスなしで発電機に直接接続するダイレクトドライブ方式が普及している。この方式の永久磁石発電機(PMG)は、タービン1基当たり数トンのネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、ジスプロシウム(Dy)、テルビウム(Tb)を必要とする。15MW級の超大型洋上風力タービン1基には約3〜4トンのNdFeB磁石が必要だ。米国エネルギー省の報告によれば、洋上風力タービンの約76%がこのPMG方式を採用している。

米国のインフレーション削減法(IRA)、欧州のグリーンディールなどの気候政策が電気自動車や風力発電の普及を促進すればするほど、中国が掌握する希土類磁石への需要は増加するしかない。気候危機への対応という目標が地政学的競争国の経済力を強化し、同時に自国の戦略的脆弱性を深めるという逆説に陥っているのだ。

半導体産業の希土類依存も致命的だ。半導体製造装置の精密制御には高強度のNdFeB磁石が不可欠だ。ウェーハを搬送するロボットアーム、蒸着やエッチング工程のチャンバー内の精密モーターなど、先端半導体装置の主要駆動部品の多くは希土類磁石を使用している。

化学機械的研磨（Chemical Mechanical Planarization、CMP）工程にも希土類が必要だ。7ナノメートル以下の超微細プロセスではウェーハ表面を原子レベルで平坦にすることが重要だ。このとき必要な研磨剤のコア成分が希土類元素であるセリウムの酸化物、セリアである。中国が最近輸出統制対象に半導体製造業者を明記した理由はここにある。CMP工程で現在の技術ではセリアスラリーの代替品を見つけるのは難しいとされる。

ジョージタウン大学CSET（安全保障・新興技術センター）の上級アナリスト、ジェイコブ・フェルドゴイズ氏は「人々はチップと言えばシリコンを思い浮かべるが、黄色い粉（セリア）のことは考えない。しかしそのセリアスラリーなしではチップを作れず、少量でも波及力が大きい依存性がある」と説明した。

米国・欧州の代替策の限界

中国の希土類統制強化に対し、米国と欧州はそれぞれ自国中心の供給網を再構築する政策を推進している。米国の対応の核心は、来たる2027年から国防システムに中国産希土類磁石の使用を全面的に禁止する国防連邦調達規則(DFARS)だ。この禁止条項は鉱山採掘から最終磁石生産に至る供給網全体を網羅する非常に強力な規制だ。米国防総省は2020年以降、4億3900万ドル以上を投資して米国内の供給網構築を支援してきた。

米国政府はMPマテリアルズと数十億ドル規模のパートナーシップを通じ、2028年までに年産1万トン規模の磁石生産能力を確保する計画だ。米国防物流局は核心鉱物の備蓄のために約10億ドル規模のグローバル調達に着手した。国防総省はアラスカのアンブラー鉱山プロジェクトと連携するトリロジー・メタルズの株式10%を取得するなど、戦略的出資にも乗り出している。

米国の強い産業再建意志にもかかわらず現実の壁は高いという分析がある。MPマテリアルズが米国内で酸化物生産を本格化させ、最初の磁石工場を建設するなど具体的成果が出ている。しかし高性能磁石製造に不可欠な中希土類(HREEs)、特にジスプロシウム(Dy)やテルビウム(Tb)の分離・精製設備は米国に存在しない。

欧州連合(EU)は主要原材料法(CRMA)で対応している。CRMAは2030年までにEUの年間消費量の10%を域内採掘、40%を域内加工、25%を域内リサイクルで調達し、特定の戦略的原材料に対する第三国依存度を65%未満に下げる目標を設定した。これを実現するため、『戦略プロジェクト』に指定された事業に対して許認可手続きを簡素化し、金融アクセスを高める優遇措置を提供する。

これにも多くの障害がある。欧州内には経済性のある希土類鉱山は少ない。新規採掘プロジェクトは地域住民の環境反対に直面しやすい。過去に中国へ移転した汚染を伴う精錬・分離施設を再び欧州へ戻すことは政治的に非常に敏感で困難な課題だ。

韓国も希土類の海外依存が高い

韓国の主要鉱物の海外依存度は99%を上回る。事実上すべてを輸入に頼る構造だ。希土類の場合は中国産の輸入比率が70%を超えている。完成品である永久磁石の依存度はさらに深刻だ。電気自動車市場の成長に伴い永久磁石の輸入額は2020年の2億3900万ドルから2022年の6億4100万ドルへと、3年でほぼ3倍に増加した。大部分を中国から輸入している。中国は4月に輸出統制措置を発表した際、韓国企業に対して『中国産希土類が含まれた部品を米国の防衛関連企業に供給するな』という直接的な警告を送ったこともある。

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キム・ジュワン記者 kjwan@hankyung.com